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2007.07.24

義母のお話。

 脳梗塞が元で記憶障害が始まり、症状が一向回復しない義母。それでも、何年かの間は自分達でがんばると言い続けてきた義父の我慢が少しずつできなくなってきた。
 それで、週2回ほど、昼ごはんと晩ご飯のおかずを届けがてら、様子を見に行っている。相変わらず何もせず(できず)一日ソファに座っている義母。何もしない義母を叱る義父。最初は2人が一度に話をしだすので、何度も喧嘩になっていた。
 しかし、最近は、義父が別々に話しをしなくては埒が明かないと思ったようで、私が行ってしばらくすると、別室へ行くか庭仕事に行ったりしはじめた。
 義母がポツリポツリと話すので、それに賛成するでもなく、否定するでもなく、義母が言うことばを繰り返してあげることにしている。そうすると、だんだんと口が軽くなってきて、いろんなことを言い出す。
 内容はたいしたことではない。昔話だったり、今を嘆いたり、義父の愚痴を言ったり。でも、黙って聞いていると、義母からは感謝の言葉とかが出てこない。いや、時々は私に対して「すまないねえ」とか「ありがとうね」とかは出てくるのだけれど、義父や旦那さんや子ども達に対しての感謝の言葉がなかったりする。
 目の前にいる人しか認識できないわけでもなさそうなのだが、一番世話をかけて一番苦労をかけている義父に対する言葉が悪口や愚痴ばっかりなのに閉口する。
 かと思えば、親戚に対して、見下したような言葉を出したりする。その人にはその人の事情も苦労も考えもあるだろうに、自分が一番正しいと言わんばかりに批判し哀れんだりする。
 何が嫌って、人の背景も考えず、自分だけの考えで相手を見下したり、批判したり、愚痴ったり、悪口を言うのを聞くのは嫌だ。
 この間、友人が「本性の部分が姿は、その人の持って生まれたもの、積み重ねて来たものの価値に比例しているのでは?」みたいなことを話してくれた。
 義母の価値観は一体どこにあったのだろう。若い時、元気な時、この人の考えや思いや価値観は一体なんだったのだろう。

 義父がどれほど義母を思って頑張っているか、旦那さんがどれほど義母を心配しているか、子ども達がどれほど義母の世話をしているかを話すと、感動して「ありがたい」「幸せ」と言う。
 病気になってから、どれだけのことを家族がしているか、義母は覚えていないのだろうか。覚えていても、それ以上に嫌やだと思うことがあるのだろうか。
 心の奥にしまってあるものを表に出してもらうには時間もかかるし、無理にはできない。何か心に望むことと反対のことを言葉にしている気がするのだけれど。それがなんなのか、見えてはこない。もしかして・・・と思うこともあるのだけれど。それが見えたら、もう少し義母の心も柔らかくなるのかもしれない。

 ある時、なぜかお風呂に入るのを拒み続ける義母になんとか入ってもらおうと、家族全員で説得したことがあった。義父に対してうまく言い訳をし、さも自分はお風呂に入っているとみんなに思わせていたのだが、やはり日がたってくるとそんな小細工は通じない。
 かなり長い間、お風呂に入っていないことに気がついて、お風呂に入ってもらおうとしたが、それはそれは頑固に頑なに拒み続けて、「お風呂に入るくらいなら、死んだ方がましだ。」と言う。「こんな惨めな思いをするくらいなら、死にたい。」とか。
 最後には義父も旦那さんも切れてしまい、子ども達も関わるのは嫌だとばかりに別室へ移動してしまった。
 正直、ため息が出たけれど、ふと思いついて「みんながお風呂へ入ってと言っているのは、おかあさんが汚いからじゃないんだよ。元気でいつまでも長生きして欲しいから、そう言っているんだよ。それはわかるよね。」と言ってみた。すると、「それはわかる」と頷いて、嫌だ嫌だと言いながらも、服を脱ぎ始めた。
 あ、なるほど。みんなは、義母のためと思い、正当な理論で義母を説得していたのだけれど、義母にしてみれば、責められているように思っていたのかも・・・と思った。
 どんな存在であってもあなたは私達に必要なのだ、と、そう思ってもらうことが大事だったのかな?と思った。
 あまりにも当たり前すぎて、今さら言葉にできないような事実を、義母は言ってもらいたかったのかな?

 そんなことで、義母は無事お風呂に入り、体も髪の毛もきれいに洗った。(と、言うか、洗ってあげた。)自分でできるというので、一緒に入って見ていたが、あまりにもできてないから、辛くなった。「届かないところを手伝うよ。」と言いながら、体半分洗ってあげたけど。
 家事全般、何でもこなして、整理整頓は下手だったけど、必要以上にきれい好きだった人なのになあ・・・。

 義母が完治することもないだろうし、良くなることもないだろう。ゆっくりと悪くなっていく一方なのだろう。
 いつか、動けなくなってしまうことがあるのだろうか。何年も動けず、記憶が混乱した状態が何年も続くのだろうか。
 この手の話は結局どこへ行き着くのかわからない。まだ、始まりだろうと思うから、この先どうなるんだか。
 まあ、とりあえず、一週間に1度だけれど、お風呂に入るようになったから、まだ良いのだと思って。て、言うか、せめて一日置きに入って欲しいんだけどな。夏場だからね。て、言うか、お風呂場、掃除させてください。言っても聞かないからできないんだけどさ。お願いします。
 

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